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  • 店主 角地 俊耶

誰かと私が好きなもの


気付けば多くの新しいブランド様とのお取り引きが始まっている19AWシーズンですが、私自身は新しいブランドを探したいとか新しいブランドじゃないと…というような観念はなく、できる限り既にお取り引きさせて頂いているお気に入りのブランド様と太くやっていきたいと考えています。

それでも、今シーズンは一歩前進したい気持ちが強かったこともあり、良いものを作れるブランド様とは積極的に手を組んできたように思います。

「unfil」もその一つで、17年秋冬にスタートしまだ2年のこのブランドと一緒にやっていくことを決めたのには一つの大きな理由があります。

unfilデザイナーの藤原将平さんは、私が以前勤めていた会社の上司でした。

それも同じ店で働く言わば先輩後輩の仲で、東京で働く大阪人という共通点もあってかお互いが少し特別な存在だと認識していた(藤原さんはそんなことないかもしれませんが)ように私は思っています。

荒く言えばそれが理由なのですが、もちろんプロダクトやクリエイティブに関して私は特に厳しいタイプなので、昔のヨシミで気に入らない服を買い付けるほど甘くありません。

2000年前後のセレクトショップ全盛期にお互い多くの時間を仕事に費やし、そこで得た学び、トラディショナルとは?ブレイクスルーとは?ストリートとは?パーソナルとは?ビジネスとは?服と人と様々な物語。

つまるところ、ファッションって結局何なの?というようなことまで考えた良い時間を過ごしたように思います。

私はそんな過去の学びを年齢とともに塩漬けにすることなく、今まで自分が経験したことがないような楽しいファッションの未来を自分の手でも作りたいと思い、Bechicsを始めました。

そして、藤原さんは私よりも10年以上先にご自身の未来を考えて、一人大きな会社から旅立ち素晴らしい時間を過ごすことで大きな成長を成し遂げ、こうして種類は違えど同じく志高く巣立った旧友と必然の再会を果たしたのでしょう。

unfilのプロダクトには、藤原さんが過去にお店で着ていたもの、みんなが好きなもの、いつでも忘れちゃいけないこと、そして今着るならこうするという絶妙なアレンジがシンプルに添えられていて、雰囲気だけではない、丁寧に洋服を着る人が今どんなものを着て喜ぶかの深い理解があるように伺えます。

「unfil = 一本の糸」というブランドネームからもお分かり頂けるように、糸一本からこだわり抜いたプロダクトは、素材はもちろん洋服を形成する全ての要素に妥協を許さない、そんな至誠なコンセプトが最大の持ち味になっていますが、それよりも私はunfilの根っこにある好きなものに共感し、39歳になった自分が自然に着れるちょっとした設定に対し理由なくしっくりきているのだと思います。

一見ふわっとしたナチュラルなイメージを持つunfilブランドですが、メンズ服に根ざしたアイデアソースと藤原さんらしい軽妙な逸脱があり、モードとトラッドの行き来を楽しめる大人に向けて提案している、私はunfilをそういう理解で見ています。

今シーズンは、中でも私が気に入ったいくつかのアイテムだけに絞り込み、こういう物が似合いそうな大人のお客様だけに提案させて頂こうと考えていますので、私がサッと差し出した時は是非お袖だけでも通してみてください。

経験がある人ほどに、言葉も不要の満足感を得て頂けると確信しています。


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