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執筆者の写真Toshiya Kakuchi

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記念すべき1stシーズンをアウターとジャケットの2アイテムでスタートしたブランド「The CLASIK(ザ・クラシック)」をBechicsでお取り扱い致します。



MARGARET HOWELLのメインラインで長年ヘッドデザイナーを担当してきた田中健氏と、COMME des GARCONS HOMME PLUSのチーフパタンナーを経て、現在はTHE RERACSなど国内のハイセンスなブランドのパターンを一手に担う鎌田寛氏がタッグを組んだ、と言えばこのブランドの大まかなイメージは掴んで頂けることでしょう。



「The CLASIK」は「The CLASSIC」ではありません。



まず、クラシックとは「歴史や社会潮流から必然性を持って生まれたファッションのスタイル」という理解をしていますが、もう少し簡単に表現をすると昔から受け継がれているスタイルならびにそのスタイルを作るために必要なアレコレだと思ってください。



我々業界人が言う”クラシック”という言葉は欧州起源のもの、特に英国を指す場合が多くテーラーに関するカテゴリーにおいては無視できない古典と言えます。



今回ご紹介する「The CLASIK」は、イギリスのクラシックなテーラリングを骨格にしたブランドですが、単なる昔の復刻ではないものとしてCLASSICの「S」を一つ意図的に欠損させモダンを孕んでいることを示唆し、最後にデザイナー田中KENさんのKをもじっています。



また、CLASSという言葉の意味は”上品な”という意味の他に、”最高級”という意味もあり、「The CLASIK」では表生地はもちろん、裏地、芯、付属など見える・触れるところから、接触できない部分にまで最高級を取り入れていくことをコンセプトにしています。





テーラードのアイテムに関する説明をこのブログでするのはかなり久々ですが、カジュアルアイテムとの大きな差は内蔵物の有無、そして仕立てにおける緻密な設計です。



洋服好きの方なら耳にしたことがあると思いますが、「ジャケット」に関しては”芯材”、もう少し具体的に言うとこのブランドでは”毛芯”というものを使っています。





今回は一級の毛芯の中から最も良質でライトウェイトの芯材を選び抜き、身頃にハーフ毛芯仕立てを、肩部にも薄いパッドを入れ、ユキワタも同様に最も薄く上質なものを採用しています。



毛芯仕立て、肩パッドと聞くと、昨今のデコンストラクションブームを逆行しているかのように聞こえますが、毛芯を入れることで生まれる細部の美しさや着用時のフィット感、そして長年着用していく中で経年変化に差が出るという理由を知ると、毛芯を使うことでのメリットはご理解頂けると思いますが、対して「結局それのせいで今っぽくなくなるのでは?」という疑問に対しても大方の予想を裏切る仕掛けがあります。



オーバーサイズの3ツボタンモデルは、広めに設定された肩幅に対して芯を入れたまさにクラシックな仕立てですが、肩口ギリギリ数センチまで曲線を落とし、ドロップさせたパターンに芯材を入れた雰囲気が全く新しい、内蔵物を入れなければ出ないフォルムを実現しています。





COMME des GARCONSというブランドを聞くと大抵の方は「モードの服」「変わった形の服」というイメージだと思いますが、なぜあのブランドが何十年にもわたって世界一と言っても過言ではない評価を受けているのでしょうか。



それは、もちろんデザイナー川久保玲さんの超越したクリエイティヴィティーが第一であることが言えますが、もう少し深掘りをしていくと常軌を逸した表現の裏にある骨の部分に潜んだ古典を重んじる姿勢に、数々の偉人たちが強いリスペクトを憶えてコム・デ・ギャルソンの存在感は確固たるものになっていると感じます。



つまり、驚くほどにクラシックな思想を持った服の表現方法の一つが、皆様が知るあのようなアヴァンギャルドなルックであり、決してデザインだけの仮装服ではないということです。



対して、THE RERACSが発信する気泡一つない氷のような透明感あるモードの領域までを、同じ人間が開ける引き出しを変えながら作っているわけですから、そのような経験値をまた違った英国的方向性に変換させた「The CLASIK」の服がどのようにモダナイズされているかはご想像に容易いはずです。





調理の仕方としては”9:1”或いは”8:2”のバランスでクラシックとその逸脱を交えていく「The CLASIK」ですが、9〜8のしっかりとした古典様式に1〜2は少量ではなく大胆且つ斬新に逸脱していく点が、今までの服とは異なる面白さにつながっていると思います。



コートの袖山は高く、しかし身幅は広いという掛け算にも証明されるように、クラシックをリラックスしたものへと変換していく方法論。






恐らく、着用時にはどこがどう違うのかが全くわからないとは思いますが、単純に言ってしまえば今のオーバーサイズトレンドを意識した方々が着てもしっくりくる、逆にそれを嫌うような正統なスタイルを好むお客様が着てもストンと腑に落ちるフォルムになっているということです。



デザイナーの田中さんに直接インタビューをした時に印象的だった「毎年新しい着方ができるもの」「10年経った時に比べて欲しい」という言葉は、商品に袖を通した後にはそれだけで十分な説得力を持っていました。





ジャケットの生地には英国の老舗「FOX&BROTHERS」の歴史あるトロピカルやオックスフォードを、コートには「DORMEUIL」のハイツイストウールギャバジン、ウールコットンギャバジン、裏地にまで「THOMAS MASON」のスーパーファインブロードを使い、まさにコレという王道かつ普遍的な代表素材をふんだんに用いています。





今回、Bechicsでは「The CLASIK」でラインナップされた合計11型のアウター・ジャケットのコレクションの中から5型をご用意し、その全てを本日からお店に並べています。



今週末、皆様にお会いできることを楽しみにご来店をお待ち申し上げております。



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