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  • 店主 角地 俊耶

黒の白


COLLECTION LINEUP TO EMBODY "MINIMALISTIC AUTHENTICITY."

DRAWING FINE LINE FROM REGULAR KURO DENIM,

PURSUING BEAUTY IN FUNCTIONALITY.

本物のミニマリズムを具現化するために作られたコレクション。

通常のKURO DENIMとは一線を画し、形式美および機能美を追求する。

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今シーズンより、Bechicsにてドメスティックブランド「KURO」のお取り扱いを始めます。

2010年にスタートしたKUROは既にご存知の方も多い、有名なブランドです。

KUROに関してのアレコレは、今さら私なんぞが説明するまでもなく公式HP等にてそのこだわり抜かれた商品の凄みを改めてご覧頂きたいところですが、今回Bechicsでお取り扱いをさせて頂くKUROが、”これまでのKUROではない”ところにミソがあります。

冒頭の文言『COLLECTION LINEUP TO EMBODY…』は、KUROが19年秋冬に新たにスタートさせた「K-LINE(ケイ・ライン)COLLECTION」に添えられた言葉で、職人芸に特化させたKUROとは違い、よりコレクション性を重んじた商品群に与えられたテーマです。

BechicsではこのK-LINEをメインに、KURO DENIM COLLECTIONなどブランドの骨子となるアイテムを差し込みながら今の気分に合わせて展開をしていきます。

デニム領域を極めたKUROが新たな素材開発にも着手し、様々な素材を自由に操りモダニズムとヘリテイジをクロスオーバーさせたミニマルで新しいプロポーションを追求するのが「K-LINE」。

デニムコレクションと同じく国内に存在する世界屈指の生産背景で、糸から製品までを一気通貫で作り込むことにより浮かび上がる独特の顔つきは、我々にとって身近なものほどこれまで見たことがない新たな一面を持つ”現代的アーカイブ”を思わせる商品(作品にも近い)になっています。

Architectureにも精通するデザイナー八橋さんの意匠設計はお見事!の一言で、初めて商品を拝見させて頂いた際には素材とデザインの組み立て方に思わず頷いてしまうばかりでした。

(ちなみに、時々展示会を理由に遅刻するパターンはこういった状況で話が盛り上がりすぎてしまう時にも起きやすい…反省)

色々と気になったことは深く入り込む私の癖を最初から全開で受け止めて頂き(シンプルに暑苦しいヤツ)、厚かましくも早速KUROの社長様へもインタビュー狙いのアプローチ。

某日、食事に行かせて頂いた際に教えて頂いたことでさらに納得しました。

もともと日本で非常に有名な糸屋(生地屋は糸屋から糸を買って生地をつくるので我々の業界で一番最初の繊維事業)を営む社長のご家族がKUROの背景にあり、今まさに時代に乗りまくっている様々なブランドも、この糸屋さんから糸を買って生地を作っているという裏話や、いかにKUROが素材開発に長けているのかを裏付けるような世界的ビッグブランドとの協業のお話など、すごいとは聞いていたもののまさかそこまでなのかと今更ながらその力に度肝を抜かれたという感覚です。

今回、Bechicsではその素材やフォルムを十分に楽しむことができるモノの中から、更に一際ミニマルに今のBechicsの気分とフィットする白(正確にはアイボリー)と黒に絞ってラインナップいたしました。

丁寧に時間をかけて織り、意図的に甘く甘くルーズな表情を目指しながら豪快な綾がタフな表情をもたらす1st型デニムジャケットや、同じくふんわりと織り柔らかな表情を持たせた5WALEの太畝コーデュロイをゆったりとした形に仕立てたG9型ブルゾン。

そして、K-LINEスタート以前から十八番と呼ばれるスウェットアイテムはボリューミーで大胆なシルエットがありつつ極めて上品な素材、そして細部の編み立てリブ使いなど職人技を駆使したデザイン美学がシンプルなものほど着用時に違いがあることを教えてくれます。

最後に、私が以前からKUROを尊敬する一つのエピソードを。

お客様にとってはあまり親しみのない話ですが、KUROはタグに生産工場の名前を入れています。

それは、「我々はこの工場で作っています、どうぞその手の良さを感じてください」というダイレクトなメッセージである他に、KUROブランドへ数々の知恵を授けてくれた職人たちの手仕事を賞賛し正しく評価する姿勢、そして、業界関係者から見れば原価や作り方がわかってしまうようないわば内情を全て開けっぴろげているような情報公開でもあります。

誇りあるモノ作りをされている会社様を眼の前にして、私がこれ以上その意味をほじくることに何の意味もないのでこのあたりにしますが、一つだけそれでもこのお話を伝えたかった理由を説明すると、「私たちの真似ができるならやってみなさい」でもあると思っています。

昨今では、サスティナビリティという言葉をやたらと目にするようになりましたが、実態やそもそも持続性を伴わない売り上げ追及のためのキーワードとして横行している姿も珍しくありません。

KUROのようなサスティナビリティの方法論は消費者にとっても明確になる部分も多く、曖昧な価値基準を持ちやすいファッション業界においての一つの物差しにもなり、良いモノは安くないこと(KUROの商品は逆に安いです)や、職人の手仕事にはそれだけの価値があることを定義し、消費者からは見えにくくもある、良い商品には欠かせない素晴らしい技術を持った作り手の持続性を持たせることにも繋がっています。

実はずいぶん前からそんなことをしている人ほど今になってサスティナビリティという言葉を使わないという、どこか皮肉にも感じる一面もカッコいいなぁと感じています。

BLACKでもNEROでもないKUROという言葉に込められた、繊細で深い日本人の感覚が宿った新しいKUROのプロダクトは、ミニマルがただのシンプルではないことを改めて気付かせてくれつつ、どこか挑発的で我々が良いモノを知っているか試されるような品々です。

是非店頭でご覧ください。


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