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  • 店主 角地 俊耶

圧倒的に、ブーツカット。


ほぼ毎シーズン、何か買っているmandoの新商品をまた早速購入し着ています。

「圧倒的に、ブーツカット」

と個人的には感じていますが、今日はその気分についてお話したいと思います。

世の中の傾向については、オーバーサイズ(幅)という点でここしばらくの流れをそのまま汲んでいる印象ですが、トップスの丈の変化に少し注目しています。

昨年あたりからメンズでもコートはロング丈が主流になっていますが、今シーズンはコート以外のあらゆるアイテムが極端に短くなったり長くなったり、それも着丈だけではなく袖丈や袖幅なども大きく変化させて新鮮に見せているブランドも少なくありません。

メンズアイテムの場合はある程度お決まりとされるバランス感があって、多くの人が着やすいという形も定番として必要ですが、ヒトの体型や、丁度良い長さ、太さをわざと無視したようなアンバランス感というのが今シーズンの一つのトレンドで、上手く着こなせるととても面白いです。

例えば、袖が太くて長いブルゾンとか、ロング丈のシャツとか、極端にサイズの大きいジャケット…などでしょうか。

そんな時に活躍するのが、ブーツカットやストレートのパンツだと確信し、今シーズンは垂涎モノのテーパードパンツを除いて積極的に前者を仕入れました。

mandoで新型としてリリースされたワンタックブーツカットモデルは、いつものポリエステル素材を使いながら絶妙に大人が履けるシルエットに組み立てられていて、高巣さんが次に強く勧めたいモデルとして作ったと仰るのも頷ける完成度です。

もう何十年も前に流行った「厚底+ブーツカット」のようなバランス感を思い浮かべて頂くと、大人のお客様なら「おお、そういうことか!」と合点して頂けるような気がしますが、ブーツカットは今で言うところのDADスニーカーとの相性も良く、スニーカーに限らずボリュームシルエットに対して非常に高いパフォーマンスを発揮します(もちろん定番の細めの靴などとも好相性)。

一つポイントとしては、ブーツカットのパンツは長めに丈を合わせて”足長効果”や”美脚シルエット”を楽しむのが一般的だと思いますが、Bechicsでは少し短めがオススメ。

前述したように、「ストレートシルエット」もまた今シーズンの気分ですが、ブーツカットの短め設定は、裾が広がりきる一歩手前で仕上げることでの程よい広がり具合と、昭和平成ような色気ムードとは違った雰囲気になるため、とても新鮮に穿くことができます。

これだけメンズのパンツが美脚テーパード中心になると、ストレートやブーツカットに対して「本当に大丈夫なのか…店主よ…」という声が聞こえてきてもおかしくないわけで、そのお気持ちを十分にお察しした中でオススメしたいのがこのmandoというわけです。

それは、mandoのパンツをお持ちのお客様ならもはや説明不要とも言える、”落ち感の美”にこそその秘密が隠されていて、裾に向かって広がるシルエットに落ち感の強いあのトロトロのポリエステル素材が乗ることで絶妙に履きやすいところに落ち着きます。

もしかしたら、ご試着頂くとブーツカットってすごく新鮮で良いね!ということでMore Flare!ということになるかもしれませんが、大人のお客様ならこれくらいがちょうど良いし、このmandoのブーツカットはよく見ると裾以外も非常によくできています。

広めの膝幅やタックを入れて股上を深くするスラックスベースの発想は、いわゆる典型的なブーツカットとは全く異なるフォルムになり、ルーズでエレガントな今の気分にピッタリです。

カジュアルなアイテムを上品な素材、大胆なシルエットで楽しみたい!というような、今まさにと言えるメインストリームもしっかり見えている高巣さんですが、私がmandoの奥行きやレベルを感じる点として、今の気分を反映させたブーツカットを作るのにもスタートラインは必ず70年代のYSLなど歴史的なスタイルが軸で、アレンジメントのセンスがやはり他とは全然違います。

秋冬の立ち上がりは毎回厳しい暑さに見舞われながら、ただウキウキしたい気持ちで購入後に3ヶ月以上も眠らせるような買い方をしてしまうものですが、mandoに関しては新鮮な気持ちにしてくれる上にすぐに着られるものが多く、だから私もいつも何か買っているのかもしれません(このポリエステルのパンツは既に週4ペースで、汗だくになった日も家でササっと水洗いして翌朝には穿けちゃう!)。

先日、20年春夏シーズンのmando展示会にお邪魔してきましたが、その時にいつものテラス席(この空間がmandoの豊かさそのもの)で高巣さんの気分やmandoのこの先について色々と教えて頂いた時に高巣さんが仰っていた一言。

「商売だからお客様が求めることはやらなきゃいけないんだけど、同じことをずっとやっていても全然楽しくないよね。販売する人たちも同じだと思うけど、自分がウキウキするものじゃなければ人になんて勧められないし、僕たちなら作る気にならない。これからウチは、日本ではほとんど見ないような方法でさらに特殊なモノ作りを極めたいと思っていて、そのための準備も進めているよ。大きい会社とかじゃ絶対にできないような事、角地さんも個人店だしわかると思うけど、繊細なことに拘るって何より大切で、好きなことを好きなようにやるってことが今とても大切だと思うんだよ。」

Bechicsは間もなく3周年。

それがきっかけなのか、最近もう一度自分が本当に好きなものを見直していますが、mandoはやっぱりBechicsのベースとなるブランドだと改めて感じています。


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