• 店主 角地 俊耶

MODE


ずいぶん前に、あるバイヤーが言っていた言葉が頭に残っている。

「クラシックはもっとクラシックだし、モードはもっとモードだ」

そのバイヤーと私は天と地ほどの差がある関係だったので、直接お話させて頂いたことも数える程しかないのだが、その方自体に有名なエピソードが多く、前述の言葉の意とする部分が何であるかは大体察することができた。

そもそもこの言葉を思い出すきっかけを辿ると、ここしばらく自分自身が80年代後半〜90年代のモードを見返すことが多くなっているからで、あの頃の反抗心や次にどんな一手を打つのかを楽しみに待つような、そんな気持ちに今再びなりたいと思っている。

11月に入って、私自身に時間的な余裕ができてきたこともあり可能な限り色々なものを見ているわけだが、頭ではNOだと思いながらも当時の写真などを見ていくと心が激しく揺さぶられる。

最近話題の「Diet PRADA」などを思い出して、最近見たあのブランドの元ネタはコレだったんだろうか…というようなこともしばしば見られる、思わず模倣したくなるような傑作と呼ぶに相応しいコレクションも多かった80〜90年代が今も多くの人たちから支持されるのも納得できる。

しかし、MODEか否かを語る上では「創造性」が欠かせない。

単なる過去の焼き直しには高揚しないというのが私自身の思いだ。

そういう思いから、過去に耽ることを頭でNOと思うよう常々意識をしていて、そのように書いた。

しかし、ここまで情報が多い時代になると、手繰れば何かに行き着いてしまうようなところもあり、全くのド新規的なことをするのが本当に難しくなっていることを思えば、AとBが似ていることを神経質に議論するのもとてもナンセンスだし、今欲しいものがソレだとすればそんなことはどうだって良いとも思える。

いつも通り前置きが長くなってしまっているが、言いたいことは「自由」であるか。

デザインや服作りにおいてのルールを知りつつ、縛られないような自由な創造性が残っているブランドに強く惹かれる。

そういう意味でも、今CINOHを見ていてとてもしっくりくる。

80〜90年代のモードのようなギョッとするような奇抜さがウリではないが、大きな裏切りと自由なデザインを解決する落とし所もありつつ、これはあくまで私の想像でしかないが、茅野さんは恐らく渋谷・原宿のリアルには然程興味はない。

今の東京がこんな感じであれば素敵だろうと想像することで生まれるデザインや色彩もあれば、コテコテのデザイナーズブランドらしさもあらゆる視点で存在している、それが私の思うCINOHの魅力である。

ファッションの周期は20年と言われることが多く、ようやく20年前をリアルに思い返せる世代になってきた私が同じ世代のCINOHに共感するのは至極当然なのかもしれないが、CINOHのそれは単なる焼き直しではないことも改めてコメントに付け加えたい。

90年代の末頃に、ヨウジ・ヤマモトさんが仰っていた一言だが、

「大御所や偉大な存在が脅かされるのは、いつだって得体の知れないストリートから生まれるものだ」

あと数年経った時に、CINOHがどうなっているのか本当に楽しみだ。


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