• 店主 角地 俊耶

東京ラブストーリー


1991年1月期に初回放送された、平成を代表する月9ドラマ「東京ラブストーリー」が14年ぶり7回目の再放送をしている。

ブログ読者の諸兄なら御察しかと思うが、立派なオッサンである私は当然のように初回放送時に織田裕二に憧れでもしようものかと思われそうだが、実は”ギリギリ”観ていない。

当時小学5年生の自分にとって、遠く離れた”とーきょー”という街に対するイメージなどなく、全くの他人事であったこのドラマがそんなに世間を熱狂させていたことなど当時気付いていなかったどころか、その一時間前に放送されていた「志村けんのだいじょうぶだぁ」で完全燃焼していたことの方が鮮明に記憶している。

あと2年、後ろに倒れて思春期ともなる中学生時期に放送されていれば、もう少しまともな記憶とともにこのお話ができそうなものだが、残念ながらあの頃の記憶はものの見事にウンジャラゲなわけで、今回の再放送をチラッと観た私にとってはなかなか新鮮な映像だった。

なぜ14年もの時を経て7回目の再放送に至ったかと言えば、来月から始まる織田裕二&鈴木保奈美ゴールデンコンビの新ドラマの布石であり、絶対的なテレビ世代のF3層への助走的再放送、或いは副産物として昨今の90年代トレンドに呼応したフジテレビ的戦略ではなかろうかと察することができるが、そんなどうでも良いことを言いたくてこのブログを書いているのではないので素早く本題に入ろう(もっと早く入れ)。

頭から結論的な話になるが、鈴木保奈美さん演じる主人公「赤名リカ」のファッションこそが2018年に焼き直されているスタイルの原型として、そのものとも言える格好だと感じた。

ハイウエストのボトムスにシャツもニットも御構い無しに何でも入れてしまうダイナミックなコーディネートから、オーバーサイズ(当時はこれがオーバーだと思っていなかったのが恐ろしい)のブレザーやコート。第3話ではケーブルニットとチェックのパンツというハマトラ的スタイルまで見られる。

棚橋公子さんという名スタイリストが手掛けた昭和の匂いが残るバブリーなファッションは、上京したての垢抜けない青年の姿を見事に捉えていて、オシャレなフジテレビの印象を良い形で裏切る巧妙なダサさがニクい。

ちょいダサブームの2018年においてはもはや歴史的資料とでも言えそうな見え方になっているが、それが日常の景色として疑わなかった我々にとってのあの頃は、現代においては完全に昔話として扱われるに相応しいことを再確認した次第だ。

その昔、私がアメリカンなスーツの着こなしの勉強をケーリー・グラントやクラーク・ゲーブルなどからしたように、当時を知らない人が見ると昔のことはもちろん今との違いが感じられ、どうなぞらえ、どうアップデイトすれば現代的になるのかわかりやすい、という事が今回お伝えしたい内容でもある。

四十を過ぎると(まだ38歳です)急にどうでも良い昔話が多くなる大人のような、そんなウザいオヤジの匂いがしてきたので書いていて情けなくならないうちに結ぼうと思うが、「東京っぽさ」が気分の今、入荷したScyeのパンツを見ながら自然とこのブログを書いている。

当時とは違う、ソフトな素材、美しく形作られたシルエット、舶来物をそのまま着ているだけではない日本人に向けられた仕様など、枚挙にいとまがない進化の数々は、たった20年そこそこと言えどあの頃が昔として呼ばれるに十分な時間が経ち、劇的に日本のファッションが進歩したことを感じてならない。

引き続き90年代テイストが外せない今秋冬、ノスタルジックなニットやオーバーサイズのアウターをこんな洒落たパンツで合わせてどこからか「カークチっ!」と呼ばれてみたい。


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