松村大基さんが作る服は、他のどれとも違う独特なバランスがあります。
ゆるく見えるけど、キチンとしている。
懐かしいのに、新しい。
普通に見えて、とても変。
先日お食事に行った時に松村さんが仰っていたことで印象的だったのは、
「僕たちが半年以上かけてやってきたことをバイヤーさんは10分や20分で判断しなければならない。それは、僕たちにとってはとても厳しいことで、そんな仕事を選んだ自分が悪いのだけども、その数分で満足して頂けるために考えなければならないことはとても多い」
ということでした。
私はバイヤーとして諸先輩方に比べると経験も知識も浅く、試着もせずにサクサク選んでいく姿などを見ると自分との違いに呆然としますが、一つ一つを全て試着しながら(さすがにメジャーを首にぶら下げているのは今まで自分以外見たことがないw)じっくりじっくり選んでいくのが性に合っているのでそのやり方で今までやってきました。
先ほど松村さんが仰っていたことは我々販売店でも同様で、私が散々頭を悩ませて買い付けた商品もお客様にはたった数秒で好きか嫌いかを判断されてしまうし、ネットに掲載しているものは実物を見ずしてYesもNoも言われるような時代。
それは、松村さんがおっしゃる通り仕方ないことで、むしろ当然の事でしょう。
私が松村さんの作る服が好きな理由は、「普通に見えて、とても変」という失礼なwお話にもあるように、着用した瞬間にわかる美しさ以外に、まじまじと見た時にその違いがわかるものが多いから。
商品を片手に、実際にお客様にご試着頂きながら、指でその箇所を差しながら何がどう変わっていて、どんな工夫やテクニックが潜んでいるのかを説明することはできるけども、それを画像と活字にしてお伝えするのがこんなに難しいブランドも珍しいです。
シャルロット・ペリアンやボール・ケアホルムの作品を語る上で、直感的に感じる美しさ以上に実物を目の前にすることや実際に使ってみること、長く使うことが必要なように、tim.の服も様々な角度から検証することで感じる味わい深い良さがあります。
良いものを真摯に作る松村さんにだからお願いした、私が今最も着たいボタンダウンシャツは素材選びと形のワガママも全て受け入れて作っていただいた渾身の別注品です。
一生懸命作った服だから良いものとは限りませんが、少なくとも自分たちはこれ以上ないくらいカッコイイものを作ろうと微細なところにまでこだわりました。
8月4日(土)より販売を開始いたします。
是非一度、お袖を通してみてください。