
1月のアメリカ出張で目的にしていたことの一つがアクセサリーの買い付けでした。
私はいつもさっぱりとした格好が好きで、極力無駄のないスタイルでありたいという考えが基本にありますが、アクセサリーに関しては嫌いではありません。
もともと顔が地味なのもあるとは思いますが、美輪明宏論(昔何かで読んだ)で言うなら「年齢を重ねるたびに宝石が似合う」というように、アクセサリーの輝きはシブいものとの相性が良いというマイルールが存在していて、素朴な洋服とアクセサリーの組み合わせは昔から私の定番スタイルでした。
「装飾品」であるアクセサリーは、装いを飾るわけなのでできる限りしっかりしたものを身に付けたいと考えていますが、とは言え別にブランドネームは気にしません。
逆に、アクセサリーにおいてブランドのアイコン的マークやロゴは私にとっては最も不要なディティールですが、それを言ってしまうとブランドビジネスが成り立たなくなるのも業界人として理解できますので、それはそれで良しということで。
さて、今日の本題は、とあるLA通とお話をしていた時に「アソコ知ってる?」と聞かれて初めて知った、LA郊外にある小さな古物屋さんのお話。
一人の中年女性が自分の好きなものだけを作っている趣味性の強いお店は、商売っ気がなさそうに見えて私と同じく噂を聞きつけた世界中のバイヤーらしき人たちが出入りする、決して新しくないながら見ようによっては今っぽい店でした。
彼女がしていることはごくシンプル。
古物の収集をしてそれらを再生させる「リメイク雑貨」を作り、それを彼女の店”のみ”で売るというそれだけで、黙々とそれを繰り返しています。
今主流であるネット通販はおろか、ホームページもInstagramのアカウントも持たず、店で素敵な商品を売るという古典ビジネスを成功させています。
“売らんかな”感のないスタイルと、店内に入った時に感じるタイムスリップ感で、私のような訪問者は一瞬にしてその空気を察し、目の前にある商品を真剣に選ぶことに集中します。
「ここには何かがあるぞ」と。
趣味の良さが一瞬でわかる品々は、ヴィンテージの金(銀)ボタンを使ったリングやアンティーク家具の張り地を使った化粧ケースなどもあり、私が女性なら使いたいと思うようなものも多くありました。
その時本人が頭に付けていた髪飾りは、シャンデリアのタッセルを使って作ったものらしく、トラディショナルがベースにあるのがわかる素敵なものたちは、もともとはどこにでもあるものであることに改めて驚かされるとともに、私自身が見失いかけていた何かを見たような気がした感動と反省の入り混じる思い出になっています。
そんな彼女が作った、古い「モノサシ」を使ったチャームをいくつか買ってきました。

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「時々日本人が来るけど、みんな同じ質問をしてくるわ」
「どんな質問をされましたか?」
「インターネットで買いたいって」
「あなたは何と答えたのですか?」
「ここで買った他の誰かがもうインターネットで売ってるんじゃない?ってw」
「どうしてインターネット通販を使わないのですか?」
「あなたもこうして買いに来てくれたじゃない」
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今回、私がそこに行って感じたことは以下の通りです。
ありふれたものをもう一度見直すこと
便利であることは付加価値ではあるが不可欠ではない
良いものをひたすらに追い求めること
リメイク、やっぱり面白いな
