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店主 角地 俊耶

One man band


2013年に本格スタートした「CHARLIE BORROW(チャーリー・ボロウ)」というブランド。

イギリスの老舗タンナーの皮革やハンドキャスティングした金物を使い、チャーリー氏本人が全工程をハンドメイドで作る、正真正銘のMADE IN ENGLANDのBAGです。

彼の美意識は、英国製品そのもので質実剛健。ユーティリティーでタフ、オールドミリタリーに用いられた特徴的な技術などを現代的にアレンジし、リペアを繰り返し何十年も使い続けることができる高品質なバッグを生み出しています。

CHARLIE BORROWでは、100年以上も続く英国のタンナーが独自のレシピで鞣したブライドルレザーを使っていますが、そのレザーはコレクトグレイン(銀面を削って平面に仕上げられた革)で両側からオイルを染み込ませた強く柔軟な革。馬具などにも用いられています。

カバンの持ち手に使われるキャンバスも、スコットランドで150年以上続くキャンバス素材を最も得意とするミル(生地屋)から、24オンスのヘヴィーウェイトキャンバスを選んでいます。決して切れることのない強靭なキャンバスは、使えば使うほどに柔らかくなるという特徴があり、不思議なほどに手に馴染んでいきます。

ウォルソールにある王室御用達の鋳物工場で作られた、馬具類にも使われる真鍮金具は全てハンドキャストされ、熟練された職人によって磨きがかけられています。この技法を用いることで強力な圧力をかけても壊れない丈夫な作りになると同時に、一つ一つの金物が独特な味わいを持った形へと変わっていきます。

生地を固定する為に使われるリベットも、バーミンガムの工場で全て人の手によって作られています。そこでは、100年以上の耐久性を持つと言われている銅製のリベットを作り続けていて、チャーリー氏の製品には欠かせない重要なパーツです。

今回、Bechicsではミリタリーのフライヤーズキットバッグが原型となった大きめサイズのパイロットバッグをオーダーしました。

この鞄に使われている素材は、軍用テントと同じ生地でドライコーティングと防水機能の備わったリップストップです。

今の気分である大きめで削ぎ落とされたデザインはバッグにおいても同様ですが、安易な"ビッグ・シルエット"は鞄のような道具には命取りです。しかし、素材や金物に深い味わいがあるCHARLIE BORROWを見た瞬間に、やっと良いカバンを見つけたと胸を撫で下ろしたのが半年前。

と言うのも、メンズのファッションアイテムにおいて、近年最も不作が続いているアイテムがバッグであると個人的に感じていました。

ラグジュアリーブランドのような納得できる完成度を持つ物でもあまりに高価なバッグは使っていても疲れてしまうし、チープでカワイイものだけではやっぱり物足りない。実用性を押し出したバッグももはや飽和状態にある中で、使いやすくデザイン性も良い、そして物作りもしっかりとしていながらシンプルで美しく、軽い。

簡単に言えば、中価格帯で納得できるバッグがなかった中で見つけたCHARLIE BORROWは、「良い鞄」を作るために必要とされる素材・縫製・付属・デザイン、その全てを妥協なく追求し、一つ一つに手の温もりが宿った今持ちたいカバンを作っていたのです。

それは、彼がいつも口にする大道芸に例えられた「One man band」というスタイルでもあり、自らの目で選び、作り、販売までを一貫して行うことへのこだわりにも現れています。

実は、もともとはロンドンでテーラリングを学んでいたチャーリー氏が、お母様の為に作ったレザーのバッグが評判となってバッグのデザイナーへと進んでいくこととなったというCHARLIE BORROWというブランド。

そんな彼だからこそ閃く若者ならではの感覚も、このブランドの一つの魅力でしょう。


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