top of page
  • 店主 角地 俊耶

緊張と緩和


久々に、半袖シャツや七(五)分袖のカットソーような、今まで”カッコ悪い”イメージが強かったものが新鮮です。

長袖のシャツよりも半袖のシャツの方が袖が太く、腕が細い男性などは特にコンプレックスが強調されるような気がして嫌だと言われていましたが、何だかそういうつくりのものが着たくなっている2017年夏。

身幅がたっぷりしていて袖も太いシャツ。

化学繊維生地を使ったシャツ。

一時期なら着たいと思えなかったようなものですが、それに「高密度に織った非常に滑らかでハリのある生地」を使ったり、「極めてクリーンに見える美しい縫製」を施すことなどで、カジュアルすぎたルックスが突然グッと小綺麗に見えてきます。

あとは、首元のデザインも開襟が絶対と言われていますが、やはり全体傾向としてリラックスは鍵なのでしょう。

少し話は変わりますが、ファッション以外の傾向も同じような現象が起きています。

例えば、今とても人気のアーティスト「レキシ」などにも同じ気配を感じます。

彼らのリリックは基本的に歴史上にあるものごとがベースとして作られていて、歌詞としては深く掘り下げなければ”ダサい”と感じるフレーズが多いのですが、そこに小気味良い80年代のシティーポップやAORなどをとてもセンス良くアレンジして加えることで結果的に大変面白いハイブリッド感が生まれています(こんなクソ真面目に分析するようなものではない)。

つまり、一見隙がありそうなものと強いコダワリの共存こそが今の気分なのだと思います。

すでに全て完売してしまったKics Document.の七分袖のシャツもそうでしたし、日々非常に安定的にセールスしているAURALEEの五分袖のカットソーなどもまた、少しマヌケに見えるルックスとは対極の美意識が背景に感じられるものたちです。

よく、「オシャレを頑張らないことがオシャレ」という考え方があると聞きますが、決してオシャレをするエネルギーを減らそうということではなく、大きくこだわり、大きく抜く、というように、全体の捉え方を今まで以上に大胆にしていくことがこれからの気分なのだと思います。


閲覧数:369回
bottom of page