Scye BASICSから新しいトラウザーズがリリースされました。
<Scye BASICS サンホーキン綿 × ムラ糸チノルーズフィット>
Scyeの歴史の中で名品と呼ばれるものはとても多いのですが、一気に多くのファンを獲得することにつながった冬のPコート、夏のPOLOシャツ、そして年中ニーズのあるチノパンやボタンダウンシャツは私が考える代表格です。
そんなScyeのチノパンに新しく「ルーズフィットトラウザーズ」型が加わり、この春最もヒットしそうな予感とともに早速ご紹介させて頂いています。
画像をご覧の通り、非常にシンプルでスッキリとしたシルエットが特徴。
しかし、このシンプルなパンツの中にScyeたるテクニカルな要素がぎっしりです。
まず、初期型モデルのヨンイチカーキ(M-41)型である「① テーパードトラウザーズ」は、
ミリタリーチノの迫力あるシルエットを構築する中で、ディティールやステッチの入れ方など細部の再現を行いながら、素材と縫製は極限まで丁寧に、その結果モダナイズされた、あるようでなかった美しいカジュアル感が絶賛されたボトムです。
このヒット商品に端を発して以降、「② 1タックトラウザーズ」「③ オックスフォードバグス」など、それぞれのアイテムが全く違った表情を持ちながらもドレスとカジュアルを縦横無尽に行き来できるような嬉しいモデルが次々生まれ、ニューモデルのリリースのたびに「Scyeらしさ」が私たちの中にはっきりとイメージされるようになってきました。
そして、今回の「ルーズフィットトラウザーズ」は前述のどれとも異なる表情の、最もスッキリとしたモデルに仕上がっています。
一見すると②のモデルに近いキャロットシルエットになりますが、ウエスト部分は②に比べコンパクトなノータック。実際に16AWの②のモデルと比較してもウエスト周りの寸法がやや小さくなっています。
ハリのある生地感と、しっかり縫われたつくりが下支えとなり、腰〜ワタリにかけての豊かな丸みを出しているのが最大の特徴。
写真ではわかりにくいですが、サイドシームのワタリあたりに凹みが出ているがわかると思います。
これはシルエットに立体感を持たせるために生地を多く使っていることから生まれる必要な歪みで、足を通すとふっくらと外側に張り出すように計算されています。
また、脇ポケットは③で採用されているいわゆる「タテポケ」で、スラントのような実用性を重視したカジュアル仕様とは違い、よりパンツの表情が美しくスマートな見た目につながるディティールも盛り込まれています。
後ろの生地の分量を多めに取ることで出る抜け感と、前から見たときのスッキリ感が絶妙なバランス。
そして、裾口は②よりもやや太めになり、パンツのワイドバランスが気分の昨今の空気を察したような今欲しいユルさにつながっています。
結果として、履き心地も良く曲線が美しいパンツが完成するのですが、やっぱり履かないとわからないのがパンツというもの。
美しいシルエットを強調するような、パンツ中心の着こなしがオススメです。
多くの方から喜ばれ、完成されたと思われるプロダクトをその翌シーズンに素材、シルエット、ディティールなどアップデートさせ、軽々と「前回越え」をしていくScye BASICSの限りない定番への熱意もまた、グッとくるところです。