ひっそりと入荷しているFIDELIRY（フィデリティー）のシングルチェスターコート。
スーツは軍服が出自であるように、所謂DRESSの領域をミリタリーのブランドが作ることは実はそこまで無理がないお話です。
そうは言っても、肩の傾斜や首周りの吸い付き具合、数mmの袖山のニュアンス、ラペルの返り点の位置と返し方など、要所を上げていくとキリがないドレスアイテムは生半可な腕で参入しない方が身のためだと個人的には思いますが、細部が綺麗であれば何でもカッコイイ…というわけでもありません。
特にドレスダウンと考えた時には、ミリタリー特有の合理的に簡素な作りにしている…など、些かの裏切りがあった方が良く見えたりすることもあります。
そんな視点でこのシングルチェスターを見てみると、ミシンステッチの入れ具合やスラントチェンジポケットのボリューム感、ヘビーメルトンの生地の固さから生まれる保形力、など。
少し真面目なサルトリアからは出てこない生地・付属・縫い方に独特の個性があります。
そんなタフなチェスターコートならではのコーディネートは、Vincent et Mireilleのような同じくしっかりとした畦編みのタートルと、made in USAのペイズリーバンダナをクラッシュにしてポケットチーフとして使うなんて遊びも筋が通っていて良いかな…と。
大人のリラックスとして、こういうスタイルもオススメしたいと思っています。