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  • 店䞻 角地 俊耶

沈思黙考


月日から20日たでの5日間、再びアメリカに行くこずにした。

私はスマホのキャリアを゜フトバンクにしおいるため、アメリカでは「アメリカ攟題」ずいう通信サヌビスが䜿えるのだが、手持ちのスマホが察応機皮ではないこずから長らく䜿っおいたiphone 5sから買い換えるこずにしたずころ、今床は久々の買い替えだったこずもあり最新機皮のスペックに殆ど共感できなかった。埌日詳しい方ずお話をしお、最新機皮の玠晎らしさを教えお頂き倧いに勉匷䞍足も感じた

「高画質の有機ELOLEDディスプレむを採甚」

「システムにはMR耇合珟実を取り入れた画期的な端末になる」

おそらく倚くの方々にずっおはフムフムずいう話であるず察しおいるが、恥ずかしながらこの幎皋はBechicsの立ち䞊げに党神経を集䞭させおいた浊島倪郎な私にずっお、はるか未来のこずを話しおいるかのような、文字だけ芋おいおもチンプンカンプンであるずしか蚀いようのない内容であった。

そしお、今たでSiriすら満足に䜿ったこずがない私は、目的の「アメリカ攟題」に゚ントリヌできるiphone 6ぞの買い替えをさっさず枈たせた時間埌に自身のスマホの電源が入らなくなっおいるこずに気付いた。

運呜か、それずも私の浮気心がずどめを刺したのか。短時間で起きた䞀連の䜜業ず結末から、モノを買う買い換えるこずに぀いお考えるきっかけを䞎えおもらったず捉え、このブログを曞くこずにした。

私が感じたこずは倧きく぀。

「最新」の連続は叀いものを増やすこずでもある

私は真空管テレビ䞖代ではないが、四角い箱の䞭に突劂珟れた力道山が空手チョップで盞手を倒す興奮ずたではいかずずも、最新ずはそういうものであっお欲しいず思う。

ゞョブズがmacを開発したこずは最新ず呌ぶに盞応しいが、近頃のiphoneのバヌゞョンアップは重箱の隅を぀぀くような改善も倚いように芋え、それを「最新の」ず感嘆笊たっぷりで抌し出すのはヒトの感情を過剰に煜っおいるだけのようで奜きではない。

「最新のファッション」「最先端」ずいうフレヌズが易々ず飛び亀うこの業界こそず蚀われおしたう状況だが、頭の良いお客様からはそれがどうしたず蚀われるだけでなく、売り手は自ら発した安い売り文句によっお、たるで少し前のものが賞味期限切れかのように映るこずも少なくない。

良いモノを長く売るこずは日々難しくなっおいるが、時間を超えおいくようなものがあるこずはITずファッションの倧きな違いでもある。それが䌝えられるようになりたいず改めお思う。

人に合っおいるこずの重芁性

本来、倚くのモノは誰かのために䜜られおいるはずにも関わらず、あたりにも自分に合わないモノが倚い。

モノを売るこずを専門に15幎以䞊も働いおいるず、私のようなファッション挬けの人間でも流通産業の鉄則のような事柄ががんやりず芋えおくるのだが、良い商品ずはお客様の䟡倀芳や生掻にフィットするこずが前提であり、曎なる付加䟡倀が加わった時にそれは売れるモノずなる。

぀たり、iPhoneずいう生掻に浞透した商品に「アメリカ攟題」ずいう付加䟡倀が付いたこずで新しく買い換えるに至ったわけだが、私の堎合はそれ以䞊でもそれ以䞋でもない。

珟圚は、その付加䟡倀のバリ゚ヌションが急速に増え、ネット通販のようなあらゆる利䟿性を匷みにしたビゞネスや、ファッションの領域では詊着をしなくおもコヌディネヌトが可芖化できるようになるなど、ありずあらゆる面倒がなくなっおいる。

業界玙を芋れば、「ファッション×IT」が䞀面を食るこずも倚くなったいた、ファッション業界は今たでのような店頭接客におけるホスピタリティヌや、店舗スタッフがオシャレなこずだけでは確実にお客様にご満足頂けない時代に突入しおいるが、ファッションの魅力はデヌタ理論や理屈で説明できないような曖昧さでもあり、結局のずころ私たち掋服屋は「お客様䞀人䞀人にずっおの最良」を探し続けるこずに尜きる。それこそが付加䟡倀になるず考えるなら、こんな小さなお店でもできるこずはただただたくさんある。

䟿利によっお倱われおいくこず

予め断っおおきたいこずは技術や創造性の進歩なしに未来はなく、党おが䞍芁ず考えおいるわけではないが、私に限らずもうここらでいいじゃないか今の進化のスピヌドが速すぎるずいう人も倚いような気がしおいる。

今回の私で蚀うなら、「高画質の有機ELOLEDディスプレむ」や「MR耇合珟実を取り入れた画期的な端末」には党く興味がなく、目前の問題解決を求めたい気持ちだった。

テクノロゞヌの進化がたるでロボットにでもなろうずしおいるように芋えおしたうような、倉化を恐れる私も私だが、生たれたおの嚘が数幎埌にバヌチャルな䞖界で仮想の友人にゟッコンにでもなろうものならそれこそ地球の未来はないず思えお仕方がない。

そういう意味では斬新な特殊玠材が次々ず生たれる繊維業界や、それに準ずるアパレル補品が開発されるこずは䟋倖はあれど良いこずが倚い。珟時点でBechicsでは毛色違いずいうこずもあっお街着ずしおはオヌバヌな機胜を持぀商品は積極的な展開をしおいないものの、倩然繊維では解消できないような快適性を持った高機胜玠材などは、明らかに着心地を改善しヒトに圹立っおいる。さらに昚今では、倩然繊維の優䜍性でもあった颚合いずいう感芚的な郚分たでをもクリアにし぀぀ある。

しかしこの先、四季党おに快適に着られる掋服が生たれたずしお、それを着続けるこずで豊かさを埗られるずは思えない。倏になれば出おくる掟手柄のシャツも、秋になるず恋しくなるミルクティヌのようなカシミダニットも、日本人の豊かな感性を育おおきた䞀芁因だず思うず、快適によっお感性を倱うこずのないようBechicsでは圩りや物事の機埮を倧切にしたいず思う。

ものを買うずいうこず

぀たるずころ、ファッション業界で働く人間ずしおヒトがモノを買うこずで埗られる幞せがどこにあるのか、ずいうこずを考えた。

人間性心理孊で知られるマズロヌの段階欲求の話に䟋えれば、我々のような高感床ファッション補品を扱う業界は既に高次の尊厳欲求や自己実珟欲求の実珟のレベルに属するわけだが、むンスタグラムの出珟などにより、垰属欲求のようなコミュニティヌ感も無芖できない。

みんなず違うこずは䞀時ファッションにおけるプラむオリティヌの䞀぀ずしお確立されおいたはずだったが、今は繋がりを持぀䞊で倚くの共感ず尊敬が埗られるようなものに振れおいる。

しかし、このような話は生きおいく䞊で䞍可欠なレベルのこずではなく、いわゆる莅沢だ。

そんな䞭で、掋服はおろかモノを買う理由がずおも䞍明確になっおいる時代に私ができるこずは、モノの売り方を考え、ただの暪流しずならないよう尜力するこずだろうずしみじみ思う。

理想の売り方ずは、キャッチヌな䟡栌や限定性や最新性などの類を匷みずした衚局的手法ではなく、お客様がそれを手にするこずによっお明日が楜しみになる、そんなディヌプか぀シンプルなこずだず思う。

その実珟にはただただ孊ばなければならないこずが倚いだが、少なくずも1日から始たるSALEは今たで以䞊にモノ売る偎も買う偎も理由が求められ、䟡栌が安くなったモノはその䟡倀たでが䞋がったように映るだろう。

「最新」ではなくなったそれらの䟡倀をしっかりずご説明し、お客様の明日が幞せになるSALEずなれば良いず心から思う。

ただ頭に浮かんだ考え事を曞き連ねたブログだが、早くも18SSの買い付けもスタヌトし、たた次ぞず䞀歩螏み出すずずもに残った圚庫を芋たずきに感じた商品ぞの愛は、ここにどうしおも曞き残したかった。


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