一番難しいのは、常にシンプルであるということ

September 28, 2016

 

エレガント

  1. 《ダナ》

    優雅。すっきりとして上品なこと。

    ▷ elegant

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Googleで「エレガント」と検索すると、このよう表示されます。

 

今回ご紹介する商品は、私たち洋服屋さんが口を揃えて「エレガント」と形容するブランド。

高巣満導さんがクリエイションする”mando"です。

 

皆様はエレガントと聞いて、頭にどのような事を思い浮かべますか?

私はついつい洋服屋のクセもあり、人をイメージしてしまいます。

 

例えば、フレッド・アステア、ジャン・リュック・ゴダール、ポール・ニューマン、ピアース・ブロスナン、コリン・ファース…。

 

女性で言えば、グレース・ケリー、ジーン・セバーグ、ヴィヴィアン・リー、モニカ・ベルッチ、そして、日本人で言えば吉永 小百合さんなどがそれにあたる気がします。

 

いずれも時代や輝いた年齢やキャラクターは各々で違いますが、いつの時代もどこか美しいと感じさせる共通点があり、繊細且つ強靭なマインドを感じる人々です。

 

そして、どの人も正統を大切にしている、私は彼らに対してそう感じます。

 

 

mandoのコレクションは、毎回180cmワイド程の長めのラック3本程度で紹介され、ブランドとしては品番数がやや少なめと感じる絞り込まれたラインナップですが、ゆったりとラックに掛かった商品たちはそれぞれ唸るものばかり。

 

規模の小さい弊店のようなお店では全てのコレクションを買い付ける事がスペース的にも予算的にも難しいことから、買い付け商品を決定するのにとても迷うのですが、結果的に1番好きな商品が決められないまま(どれも2番に見えない)オーダーシートを提出しています。

 

基本的な軸足はドレスにあるmandoのコレクションですが、今シーズンは時代に合ったドレスダウン感覚を提案されています。

 

 シャツは細番手で織り上げたハリのあるポプリンを使いとても軽い着心地で、カフスやヨークには細かいプリーツを入れてほんの少しの膨らみを作っています。ネクタイをする前提ではないので襟型はショートポイントレギュラーの袋縫い。カラーキーパーはもちろんなく、袋縫いから生まれる独特のボリューム感を楽しんで頂くためにフロントボタンはフルボタンナップ(全て閉じて着る)でジャケットに合わせて頂くのがオススメです。

 

 

そして、最大の特徴であるフロント部分の切りっぱなしパネル使いは、フォーマルで言うイカ胸(Stiff bosom)にあたるディティールで、カットオフした生地の端から徐々にほつれが出てくるのをフリルシャツのように楽しんでいただくことができます。

 

 

 

 ミリタリーのアップデートもmandoの十八番として馴染みが深いですが、今期はアウターにおいても軽さと膨らみが一つの気分ですので、ポリエステル×ナイロンのステッチワークが施された生地を使ったものをピックアップ。

 

この商品はポケットの膨らみ具合からもわかる通り、生地に適度なハリを持たせることでシンプルなポケットが空気を入れたように立体的に持ち上がり、凹凸感自体がデザインとして成り立つ作り。mandoは量感やドレープのコントロールもとても上手く、大人が肩ひじ張らずに着られるちょうど良い加減をよくわかっていらっしゃいます。

 

また、ここもなんともさりげなく渋いところで、ポリエステル×ナイロンの素材を染める際に生まれる染まり方の違いなどが影響しているのだと思いますが、製品の角度を変えながらよく見ると玉虫模様になっていて、欧州をよく知るmandoさんならではのソラーロ使いがセンスを感じてなりません。

 

 

そして、トレンドのスカジャンもとても大人な顔に。

 

もともとはサテンのブルゾンにヨコスカ地区の地図などを刺繍で描いた土産品としてアメリカに持ち帰られた、スーベニアジャケットとも呼ばれるこの商品。

 

mandoのそれは、アイコンでもある背中の刺繍を廃して肩から袖口にかけて大胆に切り替えられた生地使いも通常のサテン地から綿×ポリウレタンに変更。マットでソリッドな質感が極めて落ち着いた印象です。

 

また、この商品はリバーシブルとしても着ることができ、もう一面に切り替えると先ほどのミリタリージャケットと同じ曲線ステッチが入った生地(こちらはナイロン100%)を使い、ボマージャケットのような表情に変わる両A面仕様がまたしてもやられます。

 

 

 

mandoの商品の中でも特に人気のものがいくつかありますが、その一つがレザー製品です。ラムレザーを使ったダブルのライダースはあまりに有名ですが、今回はゴートスエード(ヤギのバックスキン)を使ったフリンジジャケットを迷わず選びました。

 

先日、高校時代の友人と車に乗りながらレザーの洋服について話をしていた時に、レザー製品の良さは何で決まるか?という話になりました。

 

そこで当然第一に革の品質や「皮」を「革」にしていくまでの工程なども求められますが、より深い部分に着眼していくと縫製のレベルと革の端となる部分の始末、この2つが製品のツラを決める非常に大事なポイントとなると考えています。

 

それは、革と生地の違いをいかに理解して製品にしていくか、ということなのですが、革は当然1枚の皮でできているものなので部分的に厚みも品質も違います。つまり、同じように縫っていても針の入り方などに差が生じたりするため製品の表情にミクロな差が発生する。少し大げさに言うとそういう細かいポイントをどのようにコントロールしていけば美しく仕上がるか?(或いはその特性を活かしどのように生地とは違った表情を出すことができるか?)がわかっていなければ良い革製品が作れないということなのです。

 

そんな贅沢な素材を惜しげもなく使ったフリンジのデザインは非常に美しく、同じくアンティークの銀貨を型押しして作られたオリジナルのシルバーボタンも、ウエスタンジャケットが原型であることを忘れるくらい品よくアップデートされたデザインとして一目惚れしました。

 

そして、最後は最もmandoらしい商品とも言えるジャケットと、組下となるパンツのセットアップ。

 

先にも書きましたが、mandoの軸足がドレスにあることはこのジャケットをご覧頂ければ一目瞭然。

 

少し低めのゴージ位置とやや広めのラペルは、1970年代に仕立てられたテーラーの顔を現代的にモディファイしており、誇張しすぎないバルカポケットやフラップなしの腰ポケットは素材こそカジュアルなウォッシュドポリエステルでありながら完全なドレス仕様です。

 

また、裏返すと袖裏にはクラシックなダブルストライプの裏地が配され、前肩の裏地部分には腕を振りやすくするためのアクションプリーツが入れられている、そんなことまできちんと考えられた設計だとは一見しただけではわかりませんし、私たちバイヤーも展示会で改めて説明されたこともありません。mandoさんからすれば当然のことだからだと思います。

 

組下のパンツは特にファンも多くパンツ単品でコーディネートされる方をよく見かけますが、非常に履きやすくドハマリするのも納得の商品です。

 

このパンツは所謂サルエルパンツに近いものですが、従来のサルエルとは大きく異なる点がいくつかあります。

 

一つはこのパンツの基本的な出自はドレスのスラックスにある、ということ。

 

特徴的なのは3プリーツによる大きくドレープしたウエストからヒップのシルエットですが、ウエストには天狗と呼ばれる持ち出しが付いていることと、フロント・バック共にポケットは玉縁で仕上げられています。

 

 

つまり、ディティールは全てドレスのスラックスに紐付けられていながら、大胆に取った股上の深さによってサルエルパンツのようなシルエットを生み出しています。

 

 

しかし、どこかサルエルよりもスッキリとした印象を感じるのは各ディティールの効果だけではなく、アウトサイドシームがなく股下も別生地で切り替えられていない、ほとんど1枚の生地をパターンだけでパンツの形にした設計であることが大きく影響しています。

 

これは並の知識と技術では作ることができないとてもハイレベルな技で、素材も縫製もパターンも全て一体になっている素晴らしい商品として極めてクリエイティブなボトムスです。

 

 

 

今回も説明が長くなってしまいましたが、冒頭にお話ししたエレガントについて、mandoの商品を紐解く中に感じ取って頂ける何かがあれば幸いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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