2020年が始まりました。
令和初の元旦、干支の始まりである子年、2020とキリの良い数字が並んだことや、来たる東京オリンピックなどへの期待感からいつもの年明けよりも明るい気持ちで迎えたことだと思います。
私も2020年は40歳になる年で、いわゆるダブル成人式を迎える良い大人になりますので、ここからこのお店やその他について今まで以上に展開させたい思いでいます。
何はともあれ、本年も何卒宜しくお願い申し上げます。
さて、2020年第1回目のブログはSEEALLの新作でもあるリメイクジーンズについて。
Bechicsでも昨年からI.D INDUSTRIAを始め、リメイクは今私が注目するエレメントの一つです。
今日の主題は商品そのものというよりは、リメイクという手法から考える”洋服の自由について”のオハナシという方が近いかもしれません。
突然ですが、皆様は今自分で自由に服を選んで、着ていると実感されていますでしょうか?
ITの進化によって全世界のあらゆる情報が広く同時に手に入るようになるとともに、個人の趣味嗜好までを掌握され不意に目にするニュースは自ら読んでいるようでいて、実は読まされていることも少なくありません。
「今ってこんな感じだよね」という感覚を共有することも、特定のコミュニティーの中では確たるものとなりながらも、街の景色や旅先で出会った事柄、つまりリアルから吸収され自然に生まれる感覚ではなくなりつつあります。
洋服を選ぶ時にも、多くの情報を事前に得るのが当たり前になりました。
それも、これまで最先端の情報とされていたことが容易に、全ての人が同時に手に入ります。
ふと画面を覗き込めばどこのお店にどんなものがあり、どこのブランドのものなのか、そのブランドはどんな服を作っているか、思想は?強みは?なぜ高い?サイズは…ふむふむ、僕には少し大きいな、着たらこんな感じになるのか、誰かさんはどんな風に合わせるんだろう、返品はできるかな?。
実物を眼の前にし、試着をする前から想像の中でほぼ決着がついているような状態です。
ひと昔では考えられないような買い手にとって便利で良い進化を遂げたと思いますが、同時に情報自体の重みがなくなり、重要なこともそうでないことも同立になってしまったり、表面をなぞった真似事も増えました。
私の立場で考えると、お取引先様以外の展示会に出向いた時にも既に見たことがあるようなものが増え、聞いたことがあるような話や、まるで画面を覗いている時と同じような感覚も増えたように感じます。
これが気になり始めたのは1年前くらいからですが、そう感じてから現実の世界をしっかり見ていると本当に見たことがあるようなモノや同質的な景色で溢れています。
何かを得る時には必ず何かを失うとよく言われますが、情報という無限の資産を手に入れたと同時に様々な立場で自由を失いかけていることは間違いないのでしょう。
話を戻して、このリメイク商品を介してお客様に伝えたいことは「目の前にある素敵な商品をどう着こなすか」ということ。
以前、繊研新聞様に一度だけ小さく取り上げて頂いた時にお話ししたことですが、Bechicsが目指す究極の姿とは、白シャツ一枚で全てのお客様にご満足いただけるお店です。
日本一の識者と言っても過言ではないMr. LEVI'Sこと大坪洋介さんもリーバイスの魅力をこう語っていました。
「どんなサイズを選ぶのか、どうやって合わせるのか、裾を巻くのか、短くするのか、在り来たりではないことに心が動く、それがリーバイスの素晴らしさです。」
正直なことを言ってしまえば、それは決して簡単ではありません。
私も業界に数々の友人がいますが、我々本業の人間でさえ自分のスタイルを持っている人は一握りでしょう。
しかし、私が思うファッションはやはりパーソナル抜きには語れません。
ハッシュタグでは括れないところにこそ、本質があると思っています。
今回SEEALLがリメイクを手がけたのは、Levi'sの501を筆頭にあらゆるLevi'sのモデルを解体し再構築したベルテッドバギーとクロップド丈のフロントジップの2型。
501のパッチが付いているものも505や560など複数の生地が入り込んで、仕上がりの形はほぼ共通したシルエットになっています。
既に経年変化が現れた、年代の異なるデニムをつなぎ合わせることで生まれる王道の非王道化。
散々見て知っているはずの501が予想もつかない形と雰囲気へとトランスしていることは、さながら100mのスタートラインにいるはずの選手が幅跳びのスタートラインにいるような、これからどんな景色が見えるのかと期待に胸が膨らむドキドキ感のようです。
意図的に、少しオーバーサイズに作ったそれらをベルトで縛ってタックを入れたり、ウエスト位置を高くしたり、腰履きしたり、ベルトの通し方もアレンジしたりするのも面白いでしょう。
リメイクやFREEサイズの良いところは、言わずもがな一つ一つの商品が異なるため事前に余計な情報を得ることがなく純粋な心理状態でモノと向き合うことができることや、適正サイズの概念をなくし自分だったらどう着れば格好良くなれるかを考える機会があり、その結果その人だけのオリジナルスタイルが生まれることにあると考えます。
無意識に誰かの何かに縛られている今だからこそ、モノに対峙し、その良さを自ら発見し、モノを介した自らの良さを今一度見つけて欲しいと思うこの頃です。
今年も私の自由にお付き合い頂けますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
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SEEALL
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PRICE:¥18,000(without tax)
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