普遍的なアイテムを用いながらその時々の気分を細部に取り入れ、上品に表現していくのがBechicsのスタイル。
19年春夏は「シャツ」が再び気になりますが、では、今着たいシャツとはどんなもの?と聞かれると私はこう答えます。
分量感はありつつ体のフォルムが美しく見え、素材は上質であるが柔らか過ぎず堅過ぎない。
色は白・黒を半歩先と捉えて、デザインはミニマルでありながら独自のバランスがある。
誰が着ても違和感のないルックスで、シャツが目立ち過ぎないこと。
控えめに見えるが、心地よい違和感は残る。
最近ご紹介した「CINOH」のヴィスコースシャツや、「ATON」のSUVIN TWILL OVERSIZED SHIRTS、「nuterm」のカットカラーシャツなど、それらは確実にその気分を捉えた商品です。
ここ最近は、前述のイメージを総括して”緊張感”というキーワードに置き換えてお伝えしてきましたが、サイズや柄で遊んだこの2〜3年のトレンドからまた少し景色が変わりつつあり、次に向かうお客様も増えている印象です。
”餅は餅屋”というのも私のもの選びには欠かせない視点で、そのブランド毎に特に際立つアイテムを積極的に揃えていきたいという考えでいつも品揃えをしています。
そこで新たなお餅を発見したのが半年前、ある方よりブランドを紹介していただき展示会でそのシャツを見た時にピンときました。
JAN MACHENHAUER(ヤン・マッケンハウア)というブランドは、デンマークのコペンハーゲンに拠点を置き、デザイナーをはじめとしたスモール・ユニットが独特の技術と美意識を持ちデザインから生産までを一元管理するシャツを中心にしたブランドです。
19年春夏、メンズのコレクションは2型のシャツのみ。
長袖のレギュラーカラーである”CHRIS”と、長めの半袖で比翼仕立てになった”PALMO”がありますが、弊店では独特のバランスを持った”PALMO”1型のみを買い付けました。
人体と洋服の美しい調和を追求するJANさんの服は、人が着た時に素材がどのように動くか、それに仕立てはどう関わってくるか、などを追求していくことで生まれるミニマルな発想が原点にありますが、削ぎ落とすだけとは違い、美意識と目的を有機的にデザインした結果をシンプルにプロダクトに反映させています。
それは、建築的思考とも表現されていて、部屋と人の関わり合いにも例えられています。
直線と曲線の調和や、あるはずのところにないブランクの妙。
一見意味を成さない、必要と判断されたディティール。
全ては、体を入れ、日常に組み込まれた時に美しく見えるものばかりです。
極限まで薄く仕立てられた軽快な襟や、ボタンのルックス一つ取って見ても明らかな違いを感じる、Bechicsらしい新ブランドをどうぞご覧にいらしてください。