ご多分に漏れず、最近特にミリタリーの気分です。
Bechicsでは、2016年秋冬の開業当初から必ず何らかの形で展開してきたミリタリーアイテム。
16AWではScyeの袖がMA-1になったジャケット
17SSではNAISSANCEのミリタリー3ピース
17AWではnutermのミリタリーポケットTee
18SSではKics Document.のダブルタックのカーゴパンツ
18AWではATONのフィッシュテールコート…etc。
古着でもU.S ARMYのトレンチ&ステンカラーコートなど多くのお客様にお求め頂き、ミリタリーの質実剛健で無駄のない真のミニマルな魅力はいつの時代も色褪せることなく、Bechicsでは欠かせないファクターとしてこれからも重要な役割を担っていくと思います。
そんなミリタリーを誰よりもよく理解している人の一人がMAINUの真鍋さん。
今回のキーマンであり、尊敬するデザイナー様です。
Bechicsでは2018年からのお付き合いで、私もこの一年で真鍋さんとは別注の打ち合わせなども含めて何度となくお会いしていますが、以前に書いた失礼なブログの通り(改めて陳謝)一度たりとも”普通の服”を着ている姿を見たことがない真鍋さんのスタイルが私は本当に好きで、この人は”マジモン”だと確信させる強烈なスタイルを持ったお方。
「MAINU」の意味は、北海道出身の真鍋さんとパタンナーの丸さんの頭文字”M”と、本人たちは違いますがアイヌ(AINU)地方からやってきたことをもじったことからきています。
私は残念ながら北海道には足を運んだことがないのですが、知り得る限りの北の人達は、みんな本当にピュアで優しく、不器用ですがとてつもなく強いハートを持っているという印象です。
何が言いたいかと言うと、真鍋さんからは内外共にミリタリーへの愛を感じるわけで、よくあるオタク的ミリタリー談義をする以上に、本人が醸し出している雰囲気の方がよっぽど説得力があるような、そんな風貌なのです。
そんな強烈なシンパシーを感じるMAINUに惚れ込むのは当然のことで、この1年はMAINUの楽しい商品を色々と販売させて頂き、18AWではありがたいことに別注のブルゾンまで作って頂くことができました。
そして、そろそろお察しだとは思いますが、再びMAINUに別注にてBechicsのスペシャルアイテムを作って頂くことになりましたので、このブログを書いています。
今回のアイテムは、MAINUの看板商品と言っても過言ではないエマージェンシーブルゾンから派生をした「エマージェンシーシャツ」。
M-65 フィッシュテールがベースのドロップする肩周りのフォルムや大ぶりな袖、軍人たちが緊急時に活用したポンチョ型のジャケットに見られる大胆な身幅をとったデザインは押さえつつ、過剰なスペックを削ぎ落としながら最終的にリアルクローズにしていく方法論は前回のエマージェンシーブルゾンから受け継がれています。
そして今回は、Bechicsで選んだ特別な生地を使って頂きこの企画を形にしました。
この企画の最初のイマジネーションは、”ミリタリー×パンク”。
イングリッシュタータンと2トーンの2種類を選んだことで皆様にはすでに8割がた言いたいことが伝わっていると思いますが、古くは16世紀から人々の意思を代弁するツールとなったタータンチェックは、20世紀にはデザイナーのヴィヴィアン・ウエストウッドやセックス・ピストルズのジョニー・ロットンなどの手によってパンクの象徴となり、90年代のグランジにまで影響しています。
近年ではユース、ストリート、モードのカルチャーにまで着実にリーチする存在となっています。
そして、早ければ残り2ヶ月を切るイギリスEU離脱を推し進める、第76代首相であるテリーザ・メイ女史の演説時にもブラックウォッチのスーツが着られ、18世紀の産業革命の再来を志す”誇り高き英国の”タータンチェックが、武装と反抗を示す柄として確固たるイメージを持ったと言えようかと思います。
また、イギリスの植民地であったジャマイカ発祥のスカと、イギリスのパンクロックが融合する、1962年のジャマイカ独立後に生まれた「黒」人と「白」人が共存する音楽「2トーン」もまた、不況にあえぐストリートから自然発生した反抗の象徴です。
新しい元号へと切り替わる2019年、スマホの世界にある共感やシェアといった横並びの価値観に縛られない、自らに向き合うような縦方向の洋服をさらに取り揃えていく必要性を思っています。
改めて伝統と革新、ミリタリーとパンクをミックスすることに意味を感じてこの商品を企画しました。
2月9日(土)発売です。
皆様にお楽しみに頂けるよう、一生懸命作ったスペシャルなアイテムをどうぞご覧ください。