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ドレスで使われる伝統的なストライプ柄を、違和感ある形のシャツに乗せる
お坊ちゃんが着ていたものを、不良が着ているシルエットにする
ゆったりとしたサイズ感に、緊張感のある生地とシャープなパターンを
激しく、しかし統一感と落ち着きが生まれるように
ただのベーシックではない
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この商品の一番の特徴であるクレイジーパターンと言えば、ラルフローレンやブルックスブラザーズなどアメトラブランドのお家芸で、これまでも様々なブランドから同様の手法を用いた商品が発売されてきました。
今回、別注という形で商品を作って頂いたのには様々な思いがありますので、あまり長くならない程度にお話をしたいと思います。
前編と後編ともに冒頭に記載した幾つかのフレーズは、今回私が別注商品を作って頂く上で頭に浮かんだキーワードを具体的なイメージにするために考えたワードです。
全体に共通するのは「対極と調和」であり、ハイブリッドと言えば今っぽいかもしれませんが、私自身に柱としていくつか存在するファクターを直球ではなく混在させることが面白いと考えて企画しました。
ここで書くのは初めてですが、話を分かりやすくするために私の経歴をお伝えすると、2000年まで学生をしていてその間最も長く勤めたバイト先はLAWSON。
あのコンビニ最大手です。
そして、ろくに就職活動もせず学校を卒業した私が縁あってアルバイトから入社させて頂いた会社が、今や日本の衣料品シェアの数%を占めるセレクトショップの最大手の一つである株式会社ユナイテッドアローズ。
2001年に大阪の心斎橋のお店からスタートして、転勤後は銀座エリア、渋谷原宿エリア、横浜エリアでお仕事をさせて頂き、カジュアル、クロムハーツ、デザイナーズ、ドレスまで全てのセクションでお仕事をさせて頂きました。
ここで15年間お世話になり、私の洋服屋としての全てを形成します。
(実は今でもとてもお世話になっている、懐のデカい素晴らしい会社です)
とてもシンプルな経歴ですが、今はこうして大変お世話になった会社を離れて独立しました。
さて、「対極と調和」には、そういった私の過去と現在がミックスされたアイデアが盛り込まれています。
トラディショナルの典型とも言えるクレイジーパターンのシャツをラルフでもブルックスでもなくnutermらしいモードとストリートの感覚で作って頂き、トラッドがベースのBechicsで取り扱えば新しいクレイジーパターンの着こなしが表現できるのではないかと考えました。
そして、それは前編でも書いたように時代ともぴったりマッチしてまさに今着たいものになってくれたと思います。
nutermのRelaxin' Shirts(以下、R/S)の何が気に入っているかという点も少し書きますが、まずはパターンが極めて面白く、そして作りも非常に丁寧で技が効いています。
また、オリジナルのロンドンストライプのように生地にも特別なレシピがあり独特な雰囲気と着心地を得られるものになっています。
非常にマニアックですが、R/Sの襟には様々な工夫がされています。
一つはneck pointの設定を通常よりも低く、フルボタンナップで着た時でもインナーのTシャツが見えそうなほどに下げられています。
もう一つは、襟の動き(返り)。
大抵のシャツは、芯材と呼ばれる襟を綺麗に見せるための材料を内蔵させて仕立てています。
いいシャツには良い芯材が当然使われていて、逆にロープライスのシャツにはそれなりの襟芯が入っているのですが、R/Sの襟芯は襟と同じ生地を入れるコストと手間のかかる方法を選んでいます。
また、共地の芯材だけ表地と裏生地と違う向きで入れることで、生地の動き方が表面と内部で異なり結果的に写真のような平坦にならない少しカールした美しい襟になります。
そして、もう一つシャツにおいて非常に重要な部分が肩からアームの部分。
袖付けにも非常に細かいこだわりが隠されています。
nutermとBLACK&BLUEの根本的な違いとFさんは仰っていたのですが、nutermのシャツはメンズのシャツにおけるセオリーを逸脱した手法をあえて選択していることがあり、ご本人のレディースパタンナーとしての経験を活かしたパターンを引いている時があるようで、R/Sの肩線はまさにレディースの曲線を少しアレンジしたナチュラルに落ちる設計にされています。
また、言わなければ気づかないようなところですが袖付けはインサイドアウト。
よく見ると、本来裏側にくる縫い目が表に出ているのには肩に縫い目が当たらない繊細な着心地の良さを作る意味と、そうすることで生まれる肩のシルエットを表現したかったそうです。
今回、Bechicsで選ばせて頂いた生地は全てブルーのストライプで統一し、品よくクレイジーになるようなピンストライプ、ロンドンストライプ、ダブルストライプ、レガッタストライプ(LAWSONストライプ!)の4つの柄を散りばめた構成にしました。
ネイビーブレザーにチノパン、ペニーローファーが当たり前であるクレイジーパターンを今の東京らしくもっとモードに、ストリートに、常識に囚われない自由な着こなしをしたい。
ここまできて言うのもナンですが、そうは言っても別注であることよりも、ブランドが何であるかよりも、トレンドよりももっと大切なものはその人らしさ。
みなさま一人一人にあるオリジンです。
ファッションは自由、みんなファッションクレイジーであれば良いと願います。