top of page
店主 角地 俊耶

AURALEEはこれからも続くのか

デビューから3年目を迎え、瞬く間に日本のトレンドを牽引するほどにまで大きな存在になったAURALEEですが、最近はいささか流行りすぎたのでは?という声まで聞こえるほどになってきました。

流行という言葉はその文字通り、川の本流から支流へと分かれ広がり行く様を指しますが、『一時的な盛り上がり』というようなネガティブな意味も含んでいるように感じます。

実際、お客様からも「AURALEEはいつ終わると思いますか?」などというストレートなご質問も頂くことが少なくなく、一気に広まったブランドが迎える一つの壁を目前にしていることを感じます。

大前提として流行に流されず、いつも自分の目で最適な商品を見極め周囲に左右されない強いオリジンを持って頂くことをオススメしますが、それだとお話が進まないのでAURALEEについての私見をつらつら書いてみることにしました。

昨今のAURALEEの人気は件の流行とは違い、規模感はさておき今後もニーズは高いレベルで続くと思っています。

それには大きな理由がいくつかあります。

①素材を中心に”良いもの”を作っている

当たり前のことですが、品質が良いことはファッションにおいて大変重要です。

AURALEEは糸になる前の原料からこだわり抜いているブランドなので、他の追随を許さない超ハイクオリティーな素材が開発されています。

②カジュアルでもあり、ドレスでもある

AURALEEのアイテムにはセットアップなど一般的にドレスイメージの商品もありますが、基本的な商品構成はミリタリーやワークなど、トラディショナルなエッセンスを持ったカジュアルアイテムが多いのが特徴です。

ここで特筆すべきは、AURALEEのハイゲージニットはデザイン自体はカジュアルな半袖ニットながら、素材や仕上げの妙によりまるでドレスのようなエレガンスを持った顔つきにカジュアルアップされているという点です。

少し誇張したニュアンスですが、ニットを着ていてもシャツを着ているような、イージーパンツを履いていてもスラックスを履いているような”キチンと感”が得られます。

また、今の世の中に流れる緊張感(政治・経済・治安・格差・ストレス)に疲れた人々が心地よく着られるものとしてもとても時代に合っています。

③毎シーズンに提案がある

前シーズンと同じものを作らないのもAURALEEの一つの特徴で、所謂”定番”という名のリピート商品に頼らない姿勢も素晴らしい点です。

同じようなカットソーでも必ず着丈・身幅・袖丈・色・素材・カタチ、などを変えて、常に次を睨んだモノづくりをするという考え方は、意外とできているところが少なく特筆すべき点です。AURALEEの場合は特に、”今までと大きな違いはないが確実に進化している”ことを得意としているのも注目点です。

④お客様が流行を超えた買い物をされるようになっている

ファッションと流行は切り離せない関係にありますが、「着たいもの」と「着続けたいもの」は性質的に異なるところがあり、AURALEEの場合は現在前者の傾向がありますが、後者へとスライドをしていく可能性が高いと考えています。

AURALEEの商品は全てがこだわり抜いた天然繊維でできているので、化学繊維と違い時間とともに自然な変化をしていきます。

超一級の素材を使ったAURALEEの商品は、時間が経つほどにその本質をお客様に気付かせるような一面もあり、「やっぱり良いものは時間を超える」と感じさせてくれるのです。

そのようなものを手にしたお客様たちは、一流の革製品などと同じくデザインや流行を超えて素材の持つ味わいや普遍的な良さを意識するようになり、さらに高い次元での楽しみ方を覚えます。

⑤適価である

何が丁度良いかは千差万別ですが、AURALEEは価格に対してとてもクリエイティブな姿勢を感じます。

AURALEEのコットンは世界的視点で極めてレベルの高いものを使われており、シルクと見紛うようなものすら見られます。

謳い文句として表記されるカシミヤを悠々と超える肌触りを実現したウールを使ったり、我々小売の専門職に就いた人達ですら驚かされるような生地を使い、数万円するような高級品を「安い(買うに相応しい)」と感じさせてくれるのです。

私が良く話すことですが価格には理由がありますので、高いものには高い理由が、安いものには安い理由があります。しかし、価格=品質かというとそれは少し違います。

商品価格には様々な手数料が含まれています。

原料代、デザイン料、縫製代、付属品代、商品管理代、輸送代、展示会の開催費や人件費も例外なく商品価格に反映しますので、それらをうまくコントロールできれば価格を抑えることもできるということです。

AURALEEはそれらの中でいずれも不合理な経費をかけずに今の価格設定にまで行き着いています。これは企業努力以外の何物でもなく、AURALEEの大変素晴らしい部分だと感じます。

以上のような代表的な部分のみをご紹介いたしましたが、まだまだ勢いがあり2017年秋冬も大変素晴らしいコレクションを発表されていたAURALEEの今後にご期待頂ければと思います。

「AURALEEはこれからも続くのか?」

スケールが大きくなるほどファンもアンチも増えていき、様々な意見が飛び交うようになりますが、きっと毎回お客様を頷かせてくれるでしょう。

人が生み出すものなので作品に波は生まれるかもしれませんが、Bechicsに欠かせないブランドとして今後も大プッシュしていきます。

閲覧数:483回
bottom of page