- 店主 角地 俊耶
さて、これは何でしょう?

今シーズン、Bechicsでは様々な商品をご紹介してきました。
きれいなカットソーや、はるか遠くの国から得たインスピレーションを落とし込んだ商品、美しいパターンから生まれるベーシック&斬新なスタイル…。
洋服の価値を形成するものは数多くあり、それは単なる一方通行的な「コダワリ」だけでは響かず、ご覧になる人それぞれの価値観とフィットすることが何より大切であると改めて感じています。
それは、Bechicsが掲げる「あなただけのBASIC & CHIC」そのものだと振り返っています。
お店を開いて早3ヶ月が経ち、私も徐々にオシャレな街「NAKAME」に受け入れられてきたのでは…(?笑)などと勝手に思っておりますが、これまで様々なお客様がお店にご来店頂き、色々なお話をお聞かせ頂きました。
ゆっくりとお話できる環境故に、ざっくばらんなお話を聞くことができたのはとてもありがたく、たくさんのお客様からお伺いしたお話の眼目を一言で言えば
「また、楽しく服が着たい」
ということだと思いました。
たしかに、お買い物をしてもドキドキ、ワクワクすることが少なくなったと思います。
それには様々な理由がありますが、売る側も買う側も今に飽きている、別の言い方をすれば、新しいものも新しい情報も一瞬で手に入る時代になり、便利であることに麻痺してしまっている。
ということじゃないかと思っています。
インターネット通販だけでなく、どこでも何でも買えるようになったことはとても便利である一方で、どこかで特別なことや自分が第一発見者であるかもしれないドキドキ感などが削がれてしまい、何もかもがステレオタイプに見えるような気さえしてしまう。そんなモノクロな景色に無意識に落胆しているお客様は少なくないように感じています。
写真のニットは、南米のある国で編まれた手編みのニットです。
たった3人で作り、世界に卸している極めてアナログなブランドです。
この商品にはサイズがありません。
この商品は同じものが作れません。
その時々の感覚で、選ぶ糸も、編み地も、仕上げも変わります。
手編みのニットなので写真のようにフニャフニャです。綺麗にたたむことはできません。
左右のバランスが不均等です。
手編みなので、着用と共にどんどん伸びていきます。
私は、こんな不便な商品こそ今求められているものではないかと思っています。
意地悪ですが、そんな商品をネットで販売するのは違うな〜と思うので、オンラインストアでは販売致しません。
どんな商品なんだろう…。形は?素材は?サイズ感は?デザインは?
そんな想像を膨らませながら、是非お店にご覧にいらしてください!