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tsuki.s のカットソー

店主 角地 俊耶

一番最初の商品紹介は、tsuki.s(ツキドットエス)の度詰め天竺のカットソーです。

変わったブランド名と感じられる方もいらっしゃると思いますが、”月”ではなく”ツキ”でして、デザイナーSさんのお名前の一部を文字って名付けられています(S◯ ツキ◯さん)。

デザイナーのSさんとは私が25歳のとき(現在36歳)に当時Sさんがお勤めだったブランドで初めてお会いし、おいしいコーヒーとお茶菓子を頂きながらコレクションの説明さながらに色んな世間話をして頂いたのが出会いの始まりです。

tsuki.sはニットが特に秀逸なブランドで、Bechicsでもニット製品はこの後に色々とご紹介させて頂く予定なのですが、この度詰め天竺のカットソーはtsuki.sの歴史の中で初期から展開されている商品の一つで、”Tシャツ”ではなく”カットソー”。

何が違うの?ということですが、英語で書くと、Cut & Sewn(裁断して、縫う)で、もともとはニットをベースとした作りなのです。

一言に裁断して、縫うというと簡単に聞こえてしまいますが、このカットソーは人の体に対して立体的に作られているので肩は丸く、首は沿うようになっています。これはシャツやジャケットのようなテーラーの考え方に通ずるものですが、綿天竺のようなジャージー素材は生地があばれやすいので、丁寧に縫製をしていかなければ各箇所に不要な歪みがでてしまい、結果的に理想とする立体感が得られません。

そうして曲線的なフォルムをキチンと納めながら作るので、平たく畳もうとした時にどうもキレイに畳めない…というのはファンにとっては有名なお話です。

そして、生地は所謂”テンジク”のようなラフさは少なく、着用感だけをとってみるとフライスなどのような滑らかさを感じていただけます(私はよく水分の多い生地…なんて言い方をします)。そして、度詰めといえど徐々に縮みも出てきますが、縮んだ時の目の詰まり方までしっかり考えられており、ラフなアメリカンテンジクTシャツも大好きなのですが、それとはまるで別物の、ふんわりとさらに立体感が出てくるような縮み方です。

アメリカン 1pocket T

tsuki.s 度詰め天竺カットソー

私はこのカットソーをよくジャケットの中に合わせて着るのですが、仕立ての良いジャケットの中に着るTシャツを…と思うと、どうしてもジャケットの素材にマッチした生地の良さと上着を羽織っても余計なシワが入らない収まりの良い形が必要で、このカットソーこそ求めていたモノでした。

私はツキさんが前のブランドにいらっしゃった頃からのファンですが、このカットソーを着た時に初めて品質について高価な商品の価値を知ることができた、と言っても過言ではありません(25歳になるまで知らない私も私ですが…)。この10年強の歳月で、とうとう20〜30枚の丸首無地がタンスにセットされました。

ただ、一つだけ欠点があるとしたら、畳んである状態ではこの良さがわからないことだけ。

寡黙なカットソーですが、Bechicsのコンセプトである”Basic & Be chic”そのものです。

最初から20枚買いはおススメしませんが、この1枚でBechicsの品質をご理解頂けると確信しています。


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