• Toshiya Kakuchi

いままでとこれから




もう一つ、英国式テーラリングを語る上で避けて通れないブランドが弊店でもお馴染みのScyeです。



実のところ、Scyeについてブログを書くには1年半ぶり。



このブランドに関して、洋服に詳しい皆様に今さら「良いものですよ」と語りかける必要はないだろうということもありましたが、書く前に売れた…(汗)みたいなこともありまして。



そんなこんなで随分久しぶりに書くScyeのブログについて、一つ冒頭で結論にも近い内容についてお伝えしたいのが「今までと少し違いますよ」ということ。





前回のブログで書いたThe CLASIKは、ストレートな英国式古典をベースにイマに寄り過ぎない未来に残せるアップデイトをするブランドだとご紹介しました。



Scyeも同じく英国式古典を知り尽くす、言わば教科書的なブランドでもありますので当然のように一つの商品の中にありとあらゆるテクニックが隠れています。



が、



普段ならここでScyeのウンチク(パターンや構造など…)についてこれでもかと言わんばかりに語っていくところを今回は大きく省いてご紹介したいと思っています。






SS20シーズン、Scyeが新たにリリースをした「OVERSIZED TRENCH COAT」がその変革ムードを端的に表していると思っていますが、かなり大胆に”抜いて”います。



Scyeというブランドを一言に表すと「造形美」という言葉がしっくりきますが、ある意味ガチっと作られた、硬派な雰囲気を持つ印象もありました。



誤解のないように先にお話をすると、今回のブログはScyeのポリシーが変わったという意味ではなく、”抜いたスタイルをも立体的に造る”Scyeの新商品の紹介だとご理解ください。





「抜け感」はここ数シーズン、皆様にとって欠かせないテイストであったと思いますが、サイズが大きいことや肩がドロップしている…など、ざっくりとは認識されていましたが、この抜け感について詳しく語られることが少なかったように思います。



弊店のブログをご覧の皆様でしたら、おそらくこの数年は随分抜いてきたはずですので是非お手元にある抜け感ある商品をご覧頂きつつ、先に読み進めて頂ければと思います。



・抜け感を感じる服の特徴

1:肩幅が広い、身幅が広い、袖が太い

2:首回り(手首や足首も含む)が詰まっていないデザイン

3:切り替えの線やポケット、フラップなど意匠部分が通常よりも下にある



というような要素(以外もありますが)が入っているはずです。



少し話が脱線しますが、上記1〜3の服を見た時に子供っぽいと感じたことはないでしょうか?

その理由について、私なりの解釈でご説明すると



1:肩まわり、脇下、袖などに余計なシワが多く、必要なカーブもない。

2:留まらなければいけないところで留まらないユルさ先行の構造。

3:視覚に重点を置きすぎた故に起こる辻褄の合わない形作り



と、いうような弱点があるように思います。



色々な工夫をもって上記のような弱点を補おうとする商品も多々ありますが、残念ながらこれらの条件が入った商品は時間が経つほどに違和感が生まれやすいと言わざるを得ません。






話をもとに戻すと、今回のブログでお伝えしたい内容が大体ご理解いただけると思います。



Scyeの「OVERSIZED TRENCH COAT」の優れた点は、シルク混の柔らかな素材を使いながら大胆にサイズを取り、その上でオーバーサイズの服に起こりがちなあらゆる問題を解消した「完璧な造形美を表現できるブランドならではの抜け感」がそこにあります。



言い方を変えるなら、抜け感の演出の裏にある徹底的な下支えがあり、それは当然表のシルエットだけではなく着心地や運動量など、長く着ていく上で人が無意識に求める大切な項目がしっかりと網羅されている作りになっているということです。



またいつものクセで熱くなりそうになってきましたが、今日はここまで。

記念すべき20周年を迎えたScyeの奥行きを、実際に袖を通して感じて欲しいと思います。



Scyeに限ったことではありませんが、私の頭にあるいままでとこれからの違いが少しずつ、AW20がスタートする頃にでも皆様に伝われば幸いです。




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